積読と積みゲーの狭間で

ラノベブログになる予定だった何か。

『わざわざゾンビを殺す人間なんていない。』/小林泰三

 

わざわざゾンビを殺す人間なんていない。

わざわざゾンビを殺す人間なんていない。

 

全人類がウイルスに侵され、死ねば誰もが活性化遺体になる世界。家畜ゾンビが施設で管理され、野良ゾンビが徘徊する日常のなか、とある細胞活性化研究者が、密室の中で突然ゾンビ化してしまう。彼はいつ死んだのか?どうやってゾンビになったのか?生者と死者の境目はどこだったのか?騒然とする現場にあらわれたのは、謎の探偵・八つ頭瑠璃。彼女とともに、物語は衝撃の真相が待ち受けるラストへと加速していく。世界もキャラクターもトリックも真相も予測不可!極上のゾンビ×ミステリー、開幕。

小林泰三先生のミステリ小説です。

同じく2017年刊で題材が一緒のミステリ『屍人荘の殺人』と比べてどうか読んでいたんですが、なんというか、野球で言えばサードとショートのような、守備位置が違うような印象ですね。こちらの方がかなりマニアックな一作で、中でも帯にも書かれている「踊り食い」のシーンがすごいです。トリックにも『屍人荘』とはまた少し違う方向で設定が上手く利用されていて、そこがまたいいですね。

作風も安定の小林泰三作品で、会話文主体の持ち味も十分に発揮されていました。SF作家でもありホラー作家でもありミステリ作家でもある、小林泰三先生ならではの傑作ゾンビミステリですね。