積読と積みゲーの狭間で

ラノベブログになる予定だった何か。

『夜よ鼠たちのために』/連城三紀彦

 

夜よ鼠たちのために (宝島社文庫)

夜よ鼠たちのために (宝島社文庫)

 

 

連城三紀彦先生の全9編の短編集です。2014年版『このミステリーがすごい!』「復刊希望! 幻の名作ベストテン」にて第1位を獲得している作品でもあります。連城三紀彦先生の作品を1冊まるごと読み終えるのは初めてですが、流石にインパクトのある作品ばかりですね。

 

個人的に一押しは2つ目の作品。『過去からの声』ですね。手記形式で描かれる誘拐ミステリですが、鮮やかなストーリーの流れに強い魅力を感じます。挟まれたトリックも巧みで、誘拐ミステリの名手と言われるだけありますね。

そして多角関係が嫌な味を出す『二重生活』や、不思議な展開から怒涛の終盤を迎える『代役』は、中々読んでいるのがキツい作品でした(精神的に来るという意味です)。特に『代役』は……本当にインパクトが強いです。意味がわかった瞬間に、なんだか泣きたくなりました。

他にも綺麗な伏線の回収で魅せる『奇妙な依頼』、ミスリードで唸らせられる表題作『夜よ鼠たちのために』など、「巧い」短編ミステリがてんこ盛り、という一冊でしたね。