積読と積みゲーの狭間で

ラノベブログになる予定だった何か。

『オルゴーリェンヌ』/北山猛邦

お久しぶりです。

 

 

 〈少年検閲官〉シリーズの第二弾です。

このミステリーがすごい!」10位、「本格ミステリ・ベスト10」4位などなど、数々のミステリランキングに入った一作で、恐らく最も評価されている北山ミステリです。

その評価に違わず、まさしく快作といった仕上がりでした。

 書物が駆逐される世界。旅を続ける英国人少年クリスは、検閲官に追われるユユと名乗る少女と出会う。追い詰められた二人を救おうと、突如現れた少年検閲官エノ。三人は、少女が追われる原因となった“小道具”をいち早く回収すべく、オルゴールを作り続ける海墟の洋館に向かったが…。そこで彼らを待っていたのはオルゴール職人たちを標的にした連続不可能殺人だった!先に到着していたもう一人の少年検閲官カルテの支配下に置かれた場所で、三人は犯人を突き止めるべく、トリックの解明に挑む。

 多くの北山ミステリの最大の見どころは、「どうやって殺したか」すなわちハウダニットです。この『オルゴーリェンヌ』も、やはり見どころはハウダニットなのですが、今作はさらにそこから一ひねりした物語の構成が秀逸でした。息もつかせぬ終盤の展開が本当によかったです。

シリーズ前作『少年検閲官』同様、舞台設定や小道具が見事にミステリとしてハマっていました。そこに独特な終末的描写も合わさって、これでもかと北山猛邦先生の世界観を魅せてきます。

今まで読んだ北山長編ミステリの中でも最高傑作だと思いました。ぜひみなさんにも読んでいただきたい一作です。