積読と積みゲーの狭間で

ラノベブログになる予定だった何か。

『オーパーツ 死を招く至宝』/蒼井碧

 

 

貧乏大学生・鳳水月(おおとりすいげつ)の前に現れた、顔も骨格も分身かのように瓜二つな男・古城深夜(こじょうしんや)。
鳳の同級生である彼は、OOPARTS(オーパーツ)――当時の技術や知識では制作不可能なはずの古代の工芸品――の、
世界を股にかける鑑定士だと高らかに自称した。
水晶の髑髏に囲まれた考古学者の遺体、夫婦の死体と密室から消えた黄金のシャトル……謎だらけの遺産に引き寄せられる
ように起こる、数多の不可解な殺人事件。難攻不落のトリックに、変人鑑定士・古城と巻き込まれた鳳の“分身コンビ"の運命は?

 

このミステリーがすごい!大賞」大賞受賞作です。物理トリックということで読んでみました。

この作品を語る上で絶対に外せないのは奇矯なキャラクターたちですね。主人公である水月や探偵役の深夜、深夜の姉であるまひる、その他奇矯なキャラクターが数多く出てきて、この作品の一番の魅力はそこだなと思いました。

ただ、使われたトリックは、第一章以外は拍子抜けなように思いました。物語の中核となる「オーパーツ」についての情報についても、あまりにも説明の密度が濃く、話の流れとして考えてみるとイマイチな印象です。

ただ、第一章のトリックは非常に面白みがあり、推理の展開もよかったです。一冊全体として総評するとかなり微妙な作品でしたが、第一章の出来の良さを踏まえると、作者の次回作にも期待が持てます。